【導入事例】日本工学院との協業で実現 イマーシブオーディオの普及と成長に寄与するNeumann製品を体感できる空間が誕生

【導入事例】日本工学院との協業で実現 イマーシブオーディオの普及と成長に寄与するNeumann製品を体感できる空間が誕生

KHシリーズをはじめとする製品を体験可能なデモルームでのフルデジタル環境は日本国内初

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東京 2025年9月 - 日本工学院 はクリエイティブからスポーツまで、6カレッジ35学科107の専門分野を幅広く設置する東京の総合専門学校です。毎年多くの卒業生たちが社会に出て、音楽・映像制作に関わるプロのクリエイターとして活躍しています。同校にはITエンジニアリング技術系のカリキュラムと学習環境も充実しています。

2025年の春 、日本工学院専門学校 (蒲田キャンパス)音響芸術科に、Neumannのスピーカーシステム「KHシリーズ」により構成されるイマーシブ・デモルームがオープンしました。このスペースはゼンハイザージャパンと日本工学院との協業にて誕生した国内最大規模のNeumann製品のデモルームでもあります。

新しいデモルームが設立されるまで、日本工学院にはドルビーアトモスのイマーシブ・コンテンツを制作・モニタリングできる環境がありませんでした。日本工学院専門学校 副校長である我妻拓氏は、2023年の夏ごろからドルビーアトモス対応のスタジオを作りたいという思いを強くしたといいます。

イマーシブ・デモルームの誕生
「ドルビーアトモスのイマーシブ・コンテンツを体験する機会が増えるにつれ、当校にもイマーシブオーディオ環境をつくりたいと思い立ちました。ちょうどその時期に、ゼンハイザーの真野さんから、Neumann KHシリーズの常設デモルームをつくりたいという提案を受けました。互いの思惑が一致したことから、イマーシブ・デモルームをつくることを決めました」

日本工学院6号館5Fにあるレコーディングスタジオには、すべてNeumannの最新DSP内蔵モニタースピーカーとサブウーファーによる、ドルビーアトモス対応のイマーシブ・デモルームが作られました。 ​

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スピーカーのレイアウトは7.1.4チャンネル。L/C/R/サイド/リアサイドには「KH 150 AES67」を計7台。高さ方向の音を再現するハイトスピーカーにはひと回り小さな「KH 120 AES67」計4台。さらにフロント側に2台のサブウーファー「KH 750 AES67」を置いています。

これらの機材はAES67 Ravennaネットワークにより一貫してデジタル接続され、同じNeumannのオーディオインターフェース「MT 48」を用いて、ユーザーが直感的にコントロールできる環境になっています。

このほかにもラージモニター「KH 420」を2台と、デスクの上に鎮座するニアフィールドモニター「KH 310」を2台組み合わせたシステムをステレオコンテンツの制作用として導入しています。2つのシステムを別々に設けている理由を我妻氏に聞きました。

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「この部屋は教室と、デモルームの2つの役割を兼ね備えているからです。普段は学生の実習に使用され、必要に応じてドルビーアトモスによるイマーシブオーディオのデモンストレーションやイベントにも活用します。従来のステレオ制作をベースとした授業の流れを止めることなく、生徒たちがシームレスに機材が使い分けられるよう、日下部さん、清水さんに導入を支援していただきました」

今回、日本国内で初めてNeumannのモニタースピーカーをフルデジタル環境で組んだ事例となります。デジタル伝送の大きなメリットは、アナログ接続時に発生しやすいケーブルの長さによる音のバラつきやノイズの影響が排除できることです。各スピーカーを接続するネットワークケーブルと電源ケーブルはトラス(構造体)を組んで引き回しています。スピーカーのインストールは株式会社メディア・インテグレーションのエンジニアである日下部紀臣氏、清水修平氏が担当しています。日下部氏が環境構築の経緯を次のように説明しています。

「元からしっかりとした吸音対策を施している部屋なので、Neumannのスピーカーを天井や壁面に直接設置する場合は、一度壁を外してから中に補強材を入れる必要がありました。今回は、我妻さん、真野さんとご相談のうえ、音質面を確保しつつ設置がスムーズなトラスを使うことにしました」

日下部氏は、ステレオ環境で録音を行った後に、Pro Toolsのソフトウェア側でシステムをイマーシブに切り替えてミックス作業に移行できるシームレスな環境づくりにも注力したと振り返っています。

「授業のために使われている環境をそのままに残しながら、イマーシブ制作のためのシステムを拡張しています。トラスの位置も学生の皆さんが座って作業をするスペースがしっかり取れるよう、ハイトスピーカーの位置を少し幅広めに調整しました」

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同じスタジオにはラジオの制作実習の授業に使うためのニアフィールドモニターとして、Neumann KHシリーズの「KH 80 DSP」を2台導入しています。清水氏は「まるでスピーカーの存在がなくなるような調整ができる」点がKHの魅力だと語ります。

「試聴した多くの方々が口を揃えているように、私もNeumann ​ KHシリーズはとても素直で味付けのないサウンドが魅力だと感じます。さらにNeumannのオートモニターアラインメントの『MA 1』による音場補正をかけると、スピーカーの存在を意識せずに聴ける自然なサウンドが再現できます。ドルビーアトモスによるイマーシブ・コンテンツを再生した時にもその長所が活きてきます。スピーカーに由来する特性やクセをなくして、クリエイターの方々が理想のイメージをそのまま再現できるスタジオの土台をつくることができたと考えています」

2024年の夏に完成したデモルームは、早くも同校の音響芸術科に学ぶ生徒たちを中心に活用されており、イマーシブ・コンテンツへの興味と創作意欲を刺激しているようです。学生たちが新しいエンターテインメントを体験することの大切さを、我妻氏が次のように語っています。

「ドルビーアトモスによるイマーシブオーディオは音響・音楽の世界で新たな価値観を創造できる革新的な技術です。2チャンネルのステレオ環境よりも圧倒的に多様なことを表現できる可能性に満ちています。若い学生たちが各々の発想力を自由に膨らませながら、アイデアを具現化するために役立ててもらえることを期待しています」

同校の音響芸術科を卒業した学生たちは、レコーディングエンジニアやマスタリングエンジニアとして活躍しています。我妻氏は「エンジニア希望の学生たちだけでなく、これから作曲家やミュージシャンを目指す学科たちも一緒にこの場所で創作に没入してほしい」と語っています。 ​

写真(右より)メディア・インテグレーション 日下部氏、日本工学院 我妻氏、メディア・インテグレーション 清水氏、ゼンハイザージャパン 真野
写真(右より)メディア・インテグレーション 日下部氏、日本工学院 我妻氏、メディア・インテグレーション 清水氏、ゼンハイザージャパン 真野

 

聞き手:山本敦


日本工学院ミュージックカレッジについて ​
​1947年に「創美学園」として開校した日本工学院は、東京・蒲田と八王子、北海道・登別にキャンパスを持つ総合専門学校です。クリエイターズ、デザイン、ミュージック、IT、テクノロジー、スポーツ・医療の多彩な6カレッジ35学科107分野に1万人余りが在籍、これまでにのべ約26万人の卒業生を輩出しています。ミュージックカレッジは、アーティスト・プレイヤー系、サウンドクリエイター系、音響・レコーディングエンジニア系、コンサートスタッフ・音楽スタッフ系、ダンサー・パフォーマー系の学科を設置。コンサートプロモーターなど多数の企業と提携しており、多くの卒業生がコンサートや音楽業界のスタッフ、ミュージシャン、ダンサーとして活躍しています。

Neumannについて
​「Neumann.Berlin」の名で知られるGeorg Neumann GmbHは、スタジオグレードのオーディオ機器に特化した世界的なトップメーカーであり、U 47、 M 49、U 67、U 87をはじめとするレコーディング用マイクロフォンの伝説的名機の生みの親としても知られています。1928年の創業以来、Neumann.Berlinは数々の技術的イノベーションを起こし、いくつもの国際的な賞を授与されてきました。専門は電気音響変換機の開発ですが、2010年よりテレビやラジオ放送、レコーディング、オーディオ制作といった市場向けのスタジオモニター製品開発も手掛けています。Neumann初のスタジオヘッドフォンは2019年初頭にリリースされ、2022年以降はライブオーディオ用の、リファレンスクラスのソリューションに力を入れています。Georg Neumann GmbHは1991年よりSennheiser グループの傘下に入り、製品は現在、Sennheiserが世界中で展開する拠点ネットワークのほか、長期的な関係を構築してきた販売代理店を通じて各国で販売されています。


Customer Story_Neumann_NKC_JA.pdf 1 MB Customer Story_Neumann_NKC_JA.docx 5 MB
永富 輝石 JAPAN - コミュニケーションズマネージャー, ゼンハイザージャパン株式会社
中村 美里 JAPAN, ゼンハイザージャパン PR事務局